2007年05月26日

本/雑誌】 横山秀夫『半落ち』

半落ち半落ち
横山 秀夫

講談社 2005-09
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映画にもなったベストセラー作品。家にあったので読んでみましたが期待したほど良い話ではなかったかな。映画の宣伝とかだと『アルツハイマーの妻を殺した刑事の自首までの2日間を追う』といった煽り方をされていたような気がしたのでてっきり刑事と妻の間に何がしかの秘密があってそれを誰かが探り出すのかと思ってました。ところが蓋を開けてみたら妻関係無いし。メチャクチャ自分のことばかりじゃないか!と軽く憤ってしまいましたよ。イヤそれ自体は別に腹が立たないと言うか、妻を殺して自分も死ぬ、的な自殺の理由に他人を利用する方が厭な感じなので構わないのですが、周りの人間の反応がね、解せないんですよ。まぁ秘密を隠し持っているから探ろうというところは良い。けどその後での皆が皆「アイツのことはそっとしておけ」っぽい空気になっているのがどうも何だかなーと。元々梶刑事というひとはとても良いひとで殺人も病気に苦しむ妻を楽にしてやるためだから臨んで殺した訳ではないというのは理解出来るけど、だからってあそこまでするかなー特に志木刑事。出てくるひとが皆善人過ぎるような気がしましたよ。 あと視点となる登場人物がころころ変わるのもちょっと物語に入り込めなくて困った。視点となっている間は梶刑事探る気満々なのに、他の人にバトンタッチした途端「そっとしておけ」はないだろう。視点間の繋ぎで同一性が薄いような気がしたのも登場人物に感情移入してのめりこむワタシには合わなかったのかも。もうちょっと梶刑事について丹念に書いてくれれば良かったのにと、そういう意味ではとても惜しい作品でした。他の作品はどうなんだろう、家にあったので今度読んでみます。
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