2006年09月09日

本/雑誌】 高村薫『黄金を抱いて翔べ』

4101347115黄金を抱いて翔べ
高村 薫
新潮社 1994-01

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とあるサイトさんで高村女史について触れられていたくだりに妙に惹かれて読んでみました。高村薫と言えば『マークスの山』くらいしか知らず、それさえ世間の超硬派小説という評を鵜呑みにしていたワタシはこれを読んで大層驚かされることになりましたよ。うん、何て言うか、お仲間?みたいな気持ち。もちろん物語的にはあっという間に読み終えてしまったことからも申し分のない面白さだったんだけど、超硬派と言われる割には随分とセンチメンタルな展開じゃないですか。ふたりがくっつく必然性なんてあんまりなかったのにそうしないではいられなかった高村先生の情緒的な部分に正直萌えました。うん、先生にね。ずっととっつきにくい委員長タイプだと思っていた女の子がふと見せた可愛らしさに気付いてしまったようなそんな感じで嬉しい。見た目のイメージと世間様の『超!硬派』からものすごく硬い文章のひとかと思って敬遠していた自分が馬鹿みたい。もっと読まなくちゃ。

気付いたら全然ストーリーについて触れていませんが面白かったですよ。登場人物の生き方が地べたを這うような生々しい感じで読んでて鬱になるくらいに、枝葉の部分が登場人物の姿を眼前に押し付けすぎて困るくらいに物語の世界に入り込めました。

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