教授 シャーロット ブロンテ Charlotte Bront¨e 海老根 宏 みすず書房 1995-12 売り上げランキング : 455262 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ただ先に『ジェイン・エア』や『シャーリー』を読んでしまった身からするとこの作品は彼女らしい地に足のついた描写、特に恋愛以外の面で発揮される精密さ、が欠けてるかなと思った。特に最期のクリムズワースとフランシスが結婚して一財産を築きイギリスに渡るまでの描写がそこに至るまでの過程とは比べようもないくらい大雑把。それなら結婚するところで止めとく方がらしいのにな、と思った。まぁそういう構成の面も含めて初めて書いた小説っていうのはしっくりきた。タイトルが『教授』であることから考えてこっちの方がよりシャーロットの心情が深く反映されているのかもしれない。
そうそう、この『教授』には未完の作品『エマ』『ウィリー・エリン』が収録されているんですが、これがまた続きの気になる興味深い作品なんですよ。文章量的にもまだプロット段階っぽいこの話を完全な形で読めなかったことが非常に悲しい。美味しいデザートを見せるだけで引っ込められたような気持ちになった。