2006年06月12日

本/雑誌】 恩田陸『クレオパトラの夢』

4575234834クレオパトラの夢
恩田 陸
双葉社 2003-10

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『MAZE』の魅力的な脇役(?)神原恵弥を主人公に据えたミステリー。前作のような不可思議さは鳴りを潜め、どっちかって言うと『政府の陰謀』っぽい日本的な推理小説になっている気がする。『MAZE』でのバッサバッサ切るようなメグミの語り口調が気に入っていたので読んだのですが、物語としては普通でしたね。そして前作に比べて登場人物のアクが強いのでメグミの特異さもあんまり目立っていなかった。でもやっぱりメグミが好きな人は読んだ方が良い。そんな話でした。

2006年06月08日

本/雑誌】 恩田陸『MAZE』

4575234079MAZE(めいず)
恩田 陸
双葉社 2001-02

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不思議は不思議で何もおかしいことはない、というスタンスの作品が多い恩田作品にしては珍しく「不思議」のベールが剥がされたような印象を受ける作品でした。ラストに一部後味の悪さがあるものの全体を通して漂う神秘的な空気は嫌いじゃなかった。そしてメグミさんがとても魅力的だった。男のひとも大変ですねぇ。

本/雑誌】 恩田陸『三月は深き紅の淵を』

4062648806三月は深き紅の淵を
恩田 陸
講談社 2001-07

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『三月は深き紅の淵を』というタイトルの本にまつわる中編4つからなる物語。本好きの本好きによる本好きのための本、という形容詞がピッタリの本ですね。何しろ中編ひとつひとつがとてもよく出来ていている上に核となる謎「『三月は深き紅の淵を』の正体は?」について複数の答えを提示したまま終わっているのだから。うん、何て言うか『読者』でいることの幸福感を実感できる本ですよ。各中編の主人公たちが掴んだ『三月は深き紅の淵を』の正体のどれが本当なのかをついつい考えてしまったり、文中に散りばめられている本のタイトルに胸をときめかせたり出来るんですから。『チョコレート工場の秘密』なんて本当今すぐにでも読みたいと思ってしまいましたよ。恩田先生がすごいなぁと思うところのひとつはこれだ。