2006年10月21日

本/雑誌】 高村薫『李歐』

4062630117李歐
高村 薫
講談社 1999-02

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ガチホモだ、という話はきいてたので心の準備は出来ていましたが本当にそうで驚いた。いきなり現れて「惚れた?」って言う人間、一彰が女でも引くだろうとつい素で考えてしまったためか最初の方はうまく物語りに入り込めなかった。だって全体に流れる雰囲気は重いのに一彰が李歐を語るときに描写が無駄に詩的になるものだから笑ってしまう。しかし李歐は一彰のどこが気に入ったのかは最後までよく分からなかったなぁ。あと咲子の存在があまりにも可哀想だった。物語的には楽しめたんだけど、結局幸せになったのが一彰と李歐ってのがなー多数の屍の下にある幸福って仕方ないとは言え全面肯定で受け入れられるものじゃないよね。そんな不満分を差し引いてもこの壮大さには打ちのめされるくらい良かったです。

2006年10月04日

本/雑誌】 高村薫『地を這う虫』

4167616017地を這う虫
高村 薫
文藝春秋 1999-05

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短編集。読み終えてまず思ったことは浅田次郎の短編に世知辛さを加えたらこうなるのかな、ということ。何かもう出てくるひと出てくるひと切ないほど不器用なんだもの。しかしそれだけにどの物語の主人公にもすんなりなじめた。いちばん好みだったのは『巡り合う人々』ですね。こういう偶然は好きだ。