2007年07月07日

本/雑誌】 ジェーン・オースティン『エマ』

エマ〈上〉 (岩波文庫)エマ〈上〉 (岩波文庫)
ジェーン オースティン Jane Austen 工藤 政司

岩波書店 2000-10
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一度は読んでみたかったオースティン、ブロンテ全集を読んでいるときにシャーロットの『オースティン批判』にぶつかったので良い機会だと読んでみました。


数年前の映画化の際にあらすじを耳に挟んでいたので予備知識はあったつもりなんですが、実際読み進めてこれほど宣伝文句と内容が違う話もないよなぁと思った。エマは確かキューピッド役をつとめるのが好きで自分の色恋なんかは興味がなく他人をくっつけてばかりいると言うことでしたが、実際にあの子がくっつけたのって家庭教師だけじゃないか。それも自分が主張しているだけで周りからは冷ややかに「君の力がなくてもふたりは結ばれたよ」と言われる始末。それでも持ち前のポジティブさ、もうそれ通り越して自己陶酔の域ですが、その前向きさで新しい獲物である作品内最大のエマ被害者ハリエットに牧師をけしかけたり、貴族の坊やを唆してみたり大忙しです。もうホント読んでてハリエットが可哀想になった。あの子はエマの靴に蜂蜜流し込む権利があるよ。エマの帽子にカマキリ3匹置いても許されるよ。エマによるハリエットの受難はもう数え上げたら限がないのですが、やはりハイライトはハリたんがナイトリー氏に恋をしていると知ったときのエマの反応ですね。可愛い妹のように思っている(筈の)ハリエットをけちょんけちょん。「あの方はそんな愚かなことはしない」って友達ならお世辞でも良いから励ましてあげれば良いのにさーいやはや本当にエマは面白い娘だ。近くにいたら厄介だけど友達の友達くらいのポジションだったらいても良い。愛される主人公と言うよりはむしろ普通の恋愛小説なら鬱陶しいライバルの位置にいそうなエマですが、ずっと読んでいると愛着がわくのも事実。読み終えて何度も反芻し、エマの良さを堪能しています。


ちなみにこの物語に出てくる男性はほぼダメンズばかりで唯一まともな言動をしていたナイトリー氏に尊敬の念を寄せていたのですが、ラストで彼がエマが13歳のときに見初めてからずっと愛していたという告白をしてますます惚れ直しました。格好良いぜロリコン野郎(誉め言葉) まぁ結局まともでない男性はいなくなりましたけどね。

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