短編集。前作よりも読み易くてやや拍子抜けしたが内容はなかなか面白かった。表題作は山形の高校生の間で起こった抗争が巡り廻ってひとりのやくざの死に行き着くというその流れを当時部外者であった「私」が関係者の話を聞きながらまとめていくという展開なのだけど、この流れに「私」の推理と関係者の手記と証言が混ざり、更には「私」のリアルタイムな時間の流れも加わってとんでもない混沌が物語り全体を覆っている。読んでいる最中よりは読後に何度も反芻して楽しめる話ですね。
その他の短編『伯爵夫人の午後のパーティー』『ヴェロニカ・ハートの幻影』はややミステリー調、と言うか夢野久作を髣髴とさせて、夢野先生大好きと言うかもはや崇拝の域に達しているワタシには堪らなく美味しいご馳走小編でした。これは多分買ってしまう。
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