2007年07月16日

本/雑誌】 阿部和重『アメリカの夜』

アメリカの夜アメリカの夜
阿部 和重

講談社 2001-01
売り上げランキング : 45559
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
久々に日本の純文学(?) 1ページ目からいきなり回りくどい言い方で話を進める男の独白に丸山健二を思い出した。あー、この一息で読み進められない感じ懐かしいなぁ。特に苦手意識を感じなかったためか最後まですんなり読み終えることが出来ました。うん、なかなか面白かったよ。肥大化した自意識に翻弄された結果秋分の日生まれの自分は春分の日的なものと闘う義務があると思い込んだ主人公の滑稽さが椎名林檎や戸川純に傾倒した文系女子の自意識過剰さと重なって何とも言えない気分にはなりましたけど。登場人物は皆サブカルの領域に属する人間なのにオタクに属するワタシが妙な同属嫌悪(ってほどでもないが)を感じるってことはやっぱりオタクとサブカルって似てるのかなー別にどうでも良いことなんですけど。作中で映画を撮っているからなのか、この作品自体が映画っぽい気がした。他の話もこんなんなんだろうか。


ところでこの作品、純文学にカテゴライズされるだけあって多少表現がしつこい上に同じところを何周もする煩わしさはあったけどそれよりも気になったのは文章の書き方。阿部さんがこういう書き方をするのか、それともこの『アメリカの夜』の語り手である「私」がそういうもったいぶった語り口で語る男という設定なのかまだ1作しか読んでないワタシには判じかねますが、この文章がどうにもこうにもワタシの昔書いた読書感想文を思い出させてちょっとアンニュイになった。上手い下手ではなく(当たり前だ)主題の前に重ねて否定を置く方法は昔えらい叱られたんでトラウマスイッチなんですよ。他の作品もこれだったら読み続ける自信がない。

このエントリーのトラックバックURL
http://blueasy.s15.xrea.com/x/mt-tb.cgi/765

コメントを投稿

SEARCH


ARTICLE LIST

  • 伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』
  • 阿部和重『ABC戦争―plus 2 stories』
  • 阿部和重『アメリカの夜』
  • 伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』『陽気なギャングの日常と襲撃』
  • 伊坂幸太郎『グラスホッパー』
  • 伊坂幸太郎 『終末のフール』
  • 服部まゆみ『時のアラベスク』
  • 服部まゆみ『罪深き緑の夏』
  • 今邑彩『いつもの朝に』
  • ジェーン・オースティン『エマ』
  • 伊坂幸太郎『砂漠』
  • 伊坂幸太郎 『魔王』
  • 伊坂幸太郎『重力ピエロ』
  • 漆原友紀『蟲師』
  • 横山秀夫『陰の季節』
  • 伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』
  • エミリ・ブロンテ『嵐が丘』
  • 服部まゆみ『一八八八 切り裂きジャック』
  • 高橋たか子『誘惑者』
  • シャーロット・ブロンテ『ヴィレット』
  • シャーロット・ブロンテ『教授』
  • 八木 教広『CLAYMORE 』
  • シャーロット・ブロンテ『シャーリー』
  • えすのサカエ『未来日記』
  • アン・ブロンテ『ワイルドフェル・ホールの住人』
  • アン・ブロンテ『アグネス・グレイ』
  • シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』
  • 伊坂幸太郎『ラッシュライフ』/ 恩田陸『ドミノ』
  • 横山秀夫『半落ち』
  • 高村薫『李歐』
  • 高村薫『地を這う虫』
  • 高村薫『マークスの山』
  • 高村薫『黄金を抱いて翔べ』
  • 恩田陸『クレオパトラの夢』
  • 恩田陸『MAZE』
  • 恩田陸『三月は深き紅の淵を』
  • 秦建日子『推理小説』
  • 綾辻行人『暗黒館の殺人』
  • 京極夏彦『陰摩羅鬼の瑕』
  • 読書メモ
  • CATEGORY

    Hatena Haiku

    はてなハイク

    Movable Type